外国人雇用の教科書|在留資格と助成金活用のポイントと専門家の選び方

「初めて外国人の方を雇うけれど、何から始めればいいか分からない…」
「法律違反にならないか、手続きに不備がないか心配…」
「使える助成金があるなら、しっかり活用してコストを抑えたい」
企業の成長のために外国人材の力が必要だと感じながらも、このような不安や疑問をお持ちの経営者様、人事担当者様は少なくないのではないでしょうか。
こんにちは。めぐみ国際行政書士事務所、代表の鈴木恵です。 当事務所では、英語・中国語・日本語を使い、多くの企業様の外国人雇用に不可欠な「在留資格(ビザ)」の申請手続きを専門にお手伝いさせていただいております。
外国人雇用は、法律やルールを正しく理解しないと、「知らなかった」では済まされない大きなトラブルに繋がります。しかし、それぞれの専門家と連携し、ポイントさえ押さえれば、決して難しいことではありません。
この記事では、外国人雇用を成功させるために不可欠な「①在留資格のルール」「②助成金の活用」「③専門家の役割分担」という3つの柱について、分かりやすく解説していきます。
この記事を最後までお読みいただければ、あなたの不安は解消され、自信を持って外国人雇用への第一歩を踏み出すことができるはずです。一緒に進めていきましょう。
まずはここから!外国人雇用の絶対ルール「在留資格」
外国人雇用を考える上で、全ての土台となるのが「在留資格」の知識です。これは、私たち行政書士が専門とする分野であり、コンプライアンス遵守の第一歩となります。

「『在留資格』とは、簡単に言うと『日本でどんな活動をすることが許可されているか』を示す証明書です。ここを間違えると、後の手続きが全てストップしてしまうほど重要なんですよ。まずはこの基本をしっかり押さえましょう。」
在留資格にはどんな種類があるの?
在留資格は、日本でできる仕事内容によって、大きく3つのグループに分かれています。
① 就労に制限がない在留資格(日本人と同じように働ける)
- 該当する資格: 「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」など
- 特徴: 身分や地位に基づく資格です。仕事内容に制限がなく、どんな職種でも雇用することが可能です。
② 決められた範囲の仕事だけできる在留資格
- 該当する資格: 「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」など
- 特徴: 専門的な知識やスキルを持つ多くの外国人がこの資格を持っています。資格ごとに許可された仕事しかできないため、仕事内容が適合しているか、採用前に慎重な確認が必要です。
③ 原則として働けない在留資格
- 該当する資格: 「留学」「家族滞在」など
- 特徴: 本来の目的が就労ではないため、原則は働けません。ただし、「資格外活動許可」を得ていれば、週28時間以内のルール下でアルバイトとして雇用できます。
採用時に絶対確認!「在留カード」のチェックポイント
採用面接の際には、必ず「在留カード」の原本を提示してもらい、以下の3点を確認する義務があります。
- 表面:「在留資格」の種類
- 表面:「就労制限の有無」
- 裏面:「資格外活動許可欄」(留学生などをアルバイトで雇う場合)
「知らなかった」はNG!不法就労助長罪の重い罰則
もし、在留資格の確認を怠ったり、許可された範囲を超えて働かせたりすると、「不法就労助長罪」という重い罪に問われる可能性があります。
罰則は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」と非常に重く、企業の存続を揺るがしかねません。
忘れずに!ハローワークへの届出
外国人を雇用した場合、または離職した場合には、ハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります。これも忘れないようにしましょう。
専門家の役割分担:行政書士と社会保険労務士の違い
ここで、外国人雇用をサポートする専門家について、その役割の違いを明確にしておきましょう。ここを理解することが、手続きをスムーズに進める上で非常に重要です。
行政書士(私の専門分野です!)
- 専門領域: 出入国在留管理局(入管)への手続き
- 具体的な業務: 在留資格の取得・変更・更新といった、いわゆる「ビザ」に関する法務手続きを専門に扱います。
社会保険労務士(社労士)
- 専門領域: 労働・社会保険に関する手続き、助成金の申請
- 具体的な業務: 雇用契約、社会保険の加入手続き、就業規則の作成、そして助成金の申請代行を専門に扱います。
つまり、外国人を日本に呼び寄せたり、在留資格を変更したりするのは行政書士の仕事、その後の雇用管理や助成金の申請は社労士の仕事、という明確な分担があるのです。
【情報提供】知っておきたい「助成金・補助金」という味方
【重要】助成金の申請手続きは、法律で定められた社会保険労務士(社労士)の独占業務です。
私たち行政書士は申請代行を行うことはできませんが、お客様の状況に合わせてどのような制度が活用できそうか、情報提供というかたちでサポートし、信頼できる社労士の先生へお繋ぎすることが可能です。



「助成金の多くは、何かを『始める前』に計画書を提出する必要があります。『先にやってしまった…』とならないよう、早い段階で社労士の先生に相談することが成功の秘訣です。当事務所にご相談いただければ、適切なタイミングで専門の先生をご紹介しますのでご安心くださいね。」
国がサポート!代表的な助成金制度
全国の企業が使える、厚生労働省の代表的な助成金をいくつかご紹介します。
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人スタッフが働きやすい職場環境(例:就業規則の多言語化など)を整えるための費用をサポートします。 - キャリアアップ助成金(正社員化コース)
非正規雇用のスタッフを、正社員へ転換する企業を支援する、非常に手厚い制度です。
注意: 長期雇用が前提のため、「技能実習」や「特定技能1号」などの方は対象外です。 - トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
採用のミスマッチを防ぐため、お試しで3ヶ月間雇用する際の費用をサポートします。
お住まいの地域にも?地方自治体の補助金
国とは別に、都道府県や市区町村が独自の補助金(例:介護分野の人材採用補助など)を出している場合があります。これらも社労士の先生や各自治体に確認してみる価値があります。
失敗しないためのステップ別ロードマップ
最後に、これまでの内容をまとめ、専門家と連携しながら進める具体的な行動計画をご提案します。
採用前〜採用後までの具体的な流れ
- フェーズ1:採用前(戦略立案)
- やること: どんな仕事をしてほしいかを明確にし、どの在留資格が必要か、私たち行政書士にご相談ください。実現可能性を診断します。
- フェーズ2:募集・面接
- やること: 募集活動を開始し、面接時には必ず在留カードの原本を確認します。
- フェーズ3:法的手続き【行政書士の出番!】
- やること: 採用が決まったら、すぐに行政書士に依頼して在留資格の申請手続きを進めます。
- フェーズ4:助成金申請準備【社労士の出番!】
- やること: 在留資格の申請と並行して、信頼できる社会保険労務士に依頼し、助成金の計画書を提出します。
- フェーズ5:入社後の手続き
- やること: 入社したら、ハローワークへの届出や社会保険の手続きを行います。
- フェーズ6:定着支援と管理
- やること: 在留カードの更新時期を管理し、期限が来る前に行政書士に更新手続きを依頼します。助成金の支給申請は社労士に依頼します。
このように、行政書士と社労士がそれぞれの専門分野で連携することが、成功の鍵となります。
ここまで、外国人雇用を成功させるための重要なポイントをお話ししてきました。
- ポイント1:在留資格のルールの徹底
まずは「ビザ」の専門家である行政書士に相談し、コンプライアンスを徹底すること。 - ポイント2:専門家との役割分担の理解
「ビザは行政書士」「助成金・労務は社労士」という役割を理解し、適切な専門家に相談すること。 - ポイント3:計画的な連携
採用計画の段階から各専門家と連携し、手続きを計画的に進めること。
外国人雇用は、多くの手続きが絡み合うため、不安に感じるのは当然です。
「まずは在留資格のことから相談したい」 「うちの会社の場合、どんな専門家とどう連携すればいいか知りたい」 「信頼できる社労士の先生を紹介してほしい」
もしそう感じていらっしゃいましたら、一人で抱え込まずに、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。 在留資格に関するご相談(初回無料)はもちろん、その後のステップについても、全体の流れを見据えてアドバイスさせていただきます。
あなたの会社が、素晴らしい外国人材と共に新たな一歩を踏み出すお手伝いができましたら、これほど嬉しいことはありません。心を込めて、全力でサポートいたします。 お気軽にお問い合わせください。


プロフィール
行政書士・鈴木恵。日本と上海の大学を卒業後、約12年間、国際線客室乗務員として勤務。多国籍のお客様との出会いを通じて、日本での留学や就労を目指す方々の夢に触れる。行政書士として、在留資格の申請をはじめとする外国人支援に注力中。
「飛行機を降りたその先にも寄り添える存在に」をモットーに、ひとりひとりの過去・現在・未来を大切に、丁寧にサポートしています。



「こんなことで相談していいのかな?」と思うような小さなことでも、どうぞ気軽にお問い合わせくださいね。