就職内定した留学生へ。卒業から入社まで残れる「特定活動」の要件

就職内定した留学生へ。卒業から入社まで残れる「特定活動」の要件

日本の企業から就職の内定はもらえたのに、卒業したあと入社までの数か月をどう過ごせばよいのか。在留の見通しが立たず、不安を抱えている留学生の方は少なくありません。

卒業しても在留カードの期限がその日に切れるわけではありません。ただし卒業によって「留学」で認められている学習の活動は終わるため、状況に応じた在留資格への変更を早めに検討する必要があります。

結論からお伝えすると、一定の要件に該当する場合は、採用の時期までの滞在を目的とする「内定者のための特定活動」への在留資格変更許可を申請できます

許可されるかどうかは、予定している仕事の内容、ご本人の在留状況、内定先企業から提出される資料などをもとに個別に判断されます。ここでは、その要件と手続きの流れ、アルバイトの扱いまでを順にお伝えします。

目次

まず「自分がどこにいるか」を確認してください

内定者のための「特定活動」は、いま持っている在留資格によって出発点が変わります。ご自身がどの段階にいるかを確認してください。

いまの在留資格状況次に行う手続き
留学在学中に内定が出た卒業前後に「特定活動(内定者)」へ変更
留学卒業したが内定はまだまず「特定活動(継続就職活動)」へ変更
特定活動(継続就職活動)就職活動中に内定が出た「特定活動(内定者)」へ変更
特定活動(内定者)入社の時期が近づいた「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザへ変更

出入国在留管理庁が対象としているのは、「留学」の在留資格で在留している方と、継続就職活動を目的とする「特定活動」の在留資格で在留している方です。

まだ内定が出ていない段階の方は、先に別の手続きが必要になります。その場合は卒業後も日本で就活を続けたい!「継続就職活動ビザ」って何?をご覧ください。

在留資格の名前はどれも「特定活動」ですが、中身は別ものです。
在留カードと一緒に渡される「指定書」に、認められた活動が書かれています。

内定者のための「特定活動」で認められる5つの要件

出入国在留管理庁が公表している要件は、次の5つです。

  • 日本の教育機関を卒業したこと、または課程を修了したこと
  • 内定後1年以内であり、かつ卒業後1年6か月以内に採用されること
  • 就職先で行う仕事が「技術・人文知識・国際業務」など、就労に関わる在留資格への変更が見込まれる内容であること
  • 内定者の在留状況に問題がないこと
  • 内定先の企業が、内定者と一定期間ごとに連絡を取ること、内定を取り消した場合は遅滞なく地方出入国在留管理局へ連絡することを誓約すること

出典:出入国在留管理庁「大学又は専門学校の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在をご希望のみなさまへ」(2026年7月時点)

注目していただきたいのは5つめです。この在留資格は、留学生ご本人だけでは完結しません

内定先の企業の協力が前提になっています。採用する側にも動いていただく必要があります。

もうひとつ見落とされやすいのが2つめの期間の条件です。「内定後1年以内」と「卒業後1年6か月以内」の両方を満たす必要があり、どちらか一方だけでは足りません。

内定の通知をもらった日と、卒業予定日をメモしておいてください。
この2つの日付から、いつまでに入社していなければならないかが決まります。

「内定がある」だけでは判断できません

3つめの要件は、実務でもっとも重みを持ちます。この在留資格は、単に入社日まで待つための制度ではありません。

採用後の仕事が「技術・人文知識・国際業務」などの就労に関わる在留資格に該当し、学歴や専攻といった基準にも適合する見込みがあることが前提になっています。

そのことは必要書類にも表れています。内定者の「特定活動」への変更では、入社時に申請する就労ビザと同じ資料(勤務場所・事業内容・給与額・職務内容が分かる文書など)の提出が求められます。

とくに専門学校を卒業した方は、専攻した内容と予定している仕事の関連性が問われます。内定通知書だけで安心せず、雇用契約書や職務内容を早い段階で確認してください。

内定者のための「特定活動」は、就労ビザへの変更が難しい場合の代わりに使える制度ではありません。入社時の在留資格変更まで見据えて準備を進める必要があります。

「継続就職活動ビザ」との違いは3点

同じ「特定活動」でも、就職活動中に使うものと内定後に使うものは役割が違います。混同されやすいところなので、表で整理します。

比べる点継続就職活動の特定活動内定者の特定活動
対象になる方卒業したが、まだ内定が出ていない方内定が出て、入社を待っている方
目的日本で就職活動を続けるため採用の時期まで日本に滞在するため
必要な協力内定先の企業は不要。ただし卒業した学校の推薦状などが必要内定先の企業による誓約が必要

継続就職活動の「特定活動」では、大学を卒業した方の場合、直前まで在籍していた大学による継続就職活動についての推薦状が提出書類に含まれます。入管庁は推薦状の様式も公開しています。

「企業の協力が要らない代わりに、学校の協力が要る」と考えると整理しやすくなります。

順番としては、就職活動中の方が内定を得たあとに、内定者の「特定活動」へ変更するという流れになります。就職活動をしないまま内定者の「特定活動」から始めることはできません。

在学中に内定が出た方は、就職活動の段階を経ずに「留学」から直接変更する形になります。

アルバイトは「2種類の許可」で扱いが変わります

内定者のための「特定活動」に変更しても、そのままでは働けません。収入を得るには、資格外活動許可(本来の在留資格に含まれない活動を認めてもらう許可)が必要です。

出入国在留管理庁は、この許可を2種類に分けています。

包括許可は、1週間について28時間以内で働く場合の許可です。一般的なアルバイトはこちらにあたります。

個別許可は、包括許可の範囲を超える活動に就く場合の許可です。就職活動の一環として職業体験を目的とするインターンシップなどが対象になります。

内定先の企業で採用までに行うインターンシップの場合は、1週について28時間を超える資格外活動許可を受けることも可能とされています。

ただし、入社前の活動であれば何でも28時間を超えられるわけではありません。職業体験を目的とするインターンシップとして、活動の内容・期間・時間・待遇を示したうえで、個別の許可を受けられるかを事前に確認する必要があります。

なお、包括許可と個別許可の両方を受けることもできます。すでにどちらかを持っている方が、あとからもう一方を申請することも可能です。

「留学」のときの許可は引き継がれません

見落とされやすい注意点があります。資格外活動許可は在留資格に結び付いているため、「留学」のときに受けた許可を、そのまま卒業後の活動の根拠にはできません

「特定活動」に変更したあともアルバイトを続ける予定であれば、在留資格の変更とあわせて資格外活動許可も申請してください。許可が出る前に働き始めることも避ける必要があります。

また、包括許可であっても風俗営業等に関わる活動は認められていません。これは在留資格が変わっても同じです。

出典:出入国在留管理庁「継続就職活動又は内定後就職までの在留を目的とする『特定活動』の在留資格に係る資格外活動許可について」(2026年7月時点)

資格外活動許可の考え方そのものについては、家族滞在ビザでアルバイトはできる?働くための条件と資格外活動許可を解説でも扱っています。

アルバイト先が決まってから許可を申請すると、働き始めるまでに時間が空きます。
在留資格の変更と同じタイミングで申請しておくと安心です。

卒業の時期別「いつ動けばよいか」の目安

手続きは在留期限との勝負になります。卒業の時期ごとに、動き出す目安をまとめます。

3月卒業で4月入社の方は、在留期限が切れる前に就労ビザへ変更できるケースが多く、内定者の「特定活動」を使わずに済む場合があります。ただし内定から入社まで期間が空くときは対象になります。

9月卒業で翌年4月入社の方は、およそ半年の空白が生まれます。内定者の「特定活動」がもっとも必要になるのがこのケースです。

3月卒業で10月入社の方も同じく空白が生まれます。海外に本社がある企業や、入社時期が複数ある企業ではよくある形です。

いずれの場合も、卒業してから慌てて動くと在留期限に間に合わないおそれがあります。内定が出た時点で在留カードの期限を確認し、逆算して準備を始めてください。

こんな方は早めのご相談をおすすめします

内定先が外国人の採用に慣れていない企業の方は、誓約に関する書類でつまずきやすくなります。企業側に何を用意していただくかを、早い段階で共有しておくとスムーズです。

在留期限が迫っている方は、書類を集める時間が足りなくなる可能性があります。卒業証明書や修了証明書は発行までに日数がかかることもあります。

アルバイトを続けながら入社を待ちたい方は、在留資格の変更と資格外活動許可をまとめて考える必要があります。手続きの順番を間違えると、働けない期間が生まれます。

専門学校を修了した方は、専攻した科目と仕事内容の関連性が問われる場面があります。インターンシップの個別許可でも、専修学校の専門課程または専攻科を修了した方は、専攻科目との関連性が認められる活動に限られるとされています。

「入社まで日本にいられるか」と「その間に働けるか」は別の手続きです。
片方だけ済ませて安心してしまう方が見受けられます。

内定先の企業のご担当者へ

この在留資格は、企業の協力なしには成立しません。ご担当者に用意していただく資料は、主に次の3つです。

ひとつめは、採用内定の事実と内定日が確認できる資料です。

ふたつめは、連絡義務等の遵守が記載された誓約書で、入管庁が様式を公開しています。

みっつめは、予定している仕事の内容が分かる資料です。企業名・主たる勤務場所・事業内容・給与額・職務内容を記載した文書の提出が求められます。

とくに重要なのが3つめです。予定している仕事が就労に関わる在留資格に適合するかどうかは、入社の直前ではなく内定の時点で確認しておく必要があります。

ここが合っていないと、入社時の在留資格変更でつまずきます。

手続きの種類や必要書類の一覧は、出入国在留管理庁「大学又は専門学校の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在を希望する場合」のページで確認できます。

内定者をアルバイトとして受け入れる場合の注意点は、留学生をアルバイトとして雇用するには?注意点を解説でも扱っています。

内定を出した時点で、入社日と在留期限を並べて確認してください。
ここが噛み合っていないと、優秀な方を採用できなくなることがあります。

入社前の手続きも忘れずに

内定者のための「特定活動」は、あくまで入社までのつなぎです。採用の時期が来たら、「技術・人文知識・国際業務」などの就労に関わる在留資格へ変更する必要があります。

この変更の流れについては、【行政書士が解説】留学ビザから就労ビザへ!失敗しない変更手続き完全ガイドで詳しくお伝えしています。

入社後に転職を考える場面が来たときは、技術・人文知識・国際業務ビザで転職したい方へ|パターン別の注意点と手続きもあわせてご覧ください。

まとめ

内定者のための「特定活動」について、要点を振り返ります。

  • 内定が出た留学生が、採用の時期まで日本に滞在するための在留資格です
  • 対象は「留学」または継続就職活動の「特定活動」で在留している方です
  • 要件は5つあり、内定後1年以内かつ卒業後1年6か月以内の採用が条件になります
  • 採用後の仕事が就労に関わる在留資格に適合する見込みが前提で、内定があるだけでは判断できません
  • 内定先の企業による誓約が必要で、本人だけでは手続きが完結しません
  • 働くには資格外活動許可を別に申請します。「留学」のときの許可は引き継がれません
  • 9月卒業で翌年入社など、卒業から入社まで空白が生まれる方がもっとも必要とします
  • 許可されるかどうかは個別に判断されるため、早めの準備と確認が結果を左右します

在留資格の手続きは、書類の準備と期限の管理が結果を左右します。内定という大切な機会を、手続きの遅れで失わないようにしていただきたいと考えています。

当事務所は日本語・英語・中国語の3か国語で対応しており、留学生ご本人からのご相談も、採用する企業のご担当者からのご相談も承っています。

ご自身の状況で変更が認められるかどうか迷われたときは、めぐみ国際行政書士事務所の無料相談からお気軽にお声がけください。一緒に進め方を整理しましょう。

プロフィール
行政書士・鈴木恵。日本と上海の大学を卒業後、約12年間、国際線客室乗務員として勤務。多国籍のお客様との出会いを通じて、日本での留学や就労を目指す方々の夢に触れる。行政書士として、在留資格の申請をはじめとする外国人支援に注力中。
飛行機を降りたその先にも寄り添える存在に」をモットーに、ひとりひとりの過去・現在・未来を大切に、丁寧にサポートしています。

「こんなことで相談していいのかな?」と思うような小さなことでも、どうぞ気軽にお問い合わせくださいね。

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