外国人アルバイト採用前の「在留カード」確認3つの基本

コンビニや飲食店をはじめ、外国人スタッフが働く姿は当たり前の光景になりました。「外国人をアルバイトとして採用したいけれど、何をどう確認すればよいのか分からない」という不安をお持ちの経営者・採用ご担当者は少なくありません。
結論からお伝えすると、押さえることは3つです。在留カードの「在留資格と就労制限の有無」「資格外活動許可」「在留期間満了日」を、正しいタイミングで確認してください。
この3つで不法就労(法律上働くことが認められていない状態で働くこと)のリスクを大きく減らせます。ただし、在留資格によっては指定書や資格外活動許可書の確認も必要になります。
なぜ確認がそれほど重要かというと、出入国在留管理庁は「不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません」と明示しているためです。確認すること自体が、会社を守る手続きになります。
しかも2026年6月からは新しい様式の在留カードが始まり、複数の様式が混在する時期に入りました。この記事では、確認のタイミング、3つの基本ポイントの見方、新様式への対応、罰則と届出までを順にお伝えします。
確認するのは「採用内定後・雇入れ前」。面接では口頭で聞くに留めます
最初に、意外と知られていないタイミングの話からお伝えします。在留カードの実物を確認するのは、面接のときではありません。
厚生労働省は、公正な採用選考と人権上の配慮から、面接時に「国籍」などの質問を行わないよう求めています。そのうえで、在留資格等の確認は口頭で行うこととし、採用が決まり次第、在留カード等の提示を求めるようにと案内しています。
公正採用選考の案内でも、選考時は口頭または書面による確認とし、採用内定後に在留カードで就労可能であることを確認する運用が示されています。
選考の段階でカードを提示させると、国籍など適性・能力に関係のない事項を把握することにつながるためです。
面接では「就労できる在留資格をお持ちですか」「資格外活動許可は受けていますか」と口頭でたずねるに留めてください。そして採用内定後、雇い入れる前に在留カード等の原本を提示してもらい、次の3つの基本ポイントを確認します。
提示してもらった在留カードは個人情報です。取り扱いには十分に留意してください。
出典:厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」(外国人の雇用に関するQ&A)/厚生労働省「公正な採用選考をめざして」Q&A
採用内定後に見る「3つの基本ポイント」の確認表
在留カードは、日本に中長期間滞在する外国人の方が持っているカードです。旅行などで一時的に滞在している方には交付されません。
採用内定後、雇い入れる前に、次の表の順番で原本をご確認ください。
| 順番 | 確認する項目 | 確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 在留資格・就労制限の有無 | 「就労制限なし」なら職種・業種の制限はありません |
| 2 | 資格外活動許可 | 「就労不可」の方でも、許可があれば条件つきで働けます |
| 3 | 在留期間満了日 | 期限と、期限が近い場合は更新手続きの状況を確認します |
ひとつ、2026年ならではの注意点があります。2026年6月14日から、新様式の在留カードと、マイナンバーカードの機能を持つ「特定在留カード」の運用が始まりました。
以前の様式のカードも有効期限までは引き続き有効なため、いまは複数の様式が混在しています。
様式によって記載の位置が異なるため、「この欄は裏面」と場所で覚えるのではなく、上の3つの項目がどこに書かれているかを探して確認してください。
なお、特別永住者の方を除き、在留カードを持っていない方は原則として就労できません。ただし例外もあります。
旅券(パスポート)に在留カードを後日交付する旨の記載がある方、3か月以下の在留期間の方、「外交」「公用」などの在留資格の方は在留カードを持っていない場合があるため、旅券等で就労の可否を確認します。

口頭で「働けるビザを持っています」と言われても、それだけで判断しないでください。
採用内定後、雇い入れる前に必ずカードの実物を見て、記載を確認することが出発点になります。
基本①「在留資格」と「就労制限の有無」を確認します
まず、在留カードの「在留資格」と「就労制限の有無」の記載を見てください。
「就労制限なし」と書かれている場合は、在留資格上、職種や業種の制限はありません。在留資格(外国人の方が日本に滞在するための法律上の資格)でいうと、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の方々がこれにあたります。
ただし、カードの期限や有効性の確認は別に必要です。「特別永住者証明書」を持っている方も、同じように就労の制限はありません。
「就労不可」と書かれている場合は、原則として雇用できません。ただし、次にご説明する資格外活動許可があれば、条件つきで働けます。
「在留資格に基づく就労活動のみ可」と書かれている場合は、認められた範囲の仕事に限られます。たとえば語学学校の先生として働くことを認められた方を、工場の作業員として雇うことはできません。
採用予定の仕事が在留資格の範囲内かどうかまで確認が必要です。また、在留資格が「特定活動」の方や「特定技能」の方は、旅券に添付された指定書(法務大臣が個々に指定した活動が書かれた書面)で、認められた活動の中身を確認する必要があります。
在留資格の種類や仕組みそのものについては、在留資格(ビザ)とは?種類や期間、注意点を初心者向けに徹底解説で詳しくお伝えしています。
基本②「資格外活動許可」。許可は1種類ではありません
「就労不可」でも、あきらめるのはまだ早いです。資格外活動許可の記載を確認してください。
従来様式のカードでは裏面の「資格外活動許可欄」にあります。資格外活動許可とは、本来の在留資格では認められていない収入を伴う活動を、条件つきで認めてもらう許可のことです。
許可の記載がない方は働けません。
「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。)」と記載があれば、その範囲でアルバイトとして雇用できます。留学生や、家族滞在(働く方の家族として日本に滞在する在留資格)の主婦・主夫の方などがこれにあたります。
週28時間のルールには、注意点が3つあります。
- 他にもアルバイト先がある場合は、すべての勤務先の合計で週28時間以内に収める必要があります
- 留学生は、在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間(夏休みなど)に限り、1日8時間以内まで働けます
- 留学生のこの許可は、教育機関に在籍している間の活動に限られます。卒業などで学生でなくなったあとは、カードに記載が残っていても同じようには働けません
一方、「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」と記載されている場合もあります。このときは週28時間とは限らないため、資格外活動許可書そのものを見せてもらい、許可された活動の内容・期間を確認してください。
このほか、「許可(「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「技能」に該当する活動・週28時間以内)」という記載もあります。地方公共団体等との雇用契約に基づく活動に限られる許可なので、一般のアルバイト採用で見かけることはまれですが、記載があれば内容が異なると覚えておいてください。
もうひとつ、見落とされやすいのが「風俗営業等の従事を除く」の範囲です。性風俗のお店に限らず、パチンコ店・マージャン店・ゲームセンターなど、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)の対象になる営業所も含まれます。
こうした営業所では、清掃や皿洗いなどの裏方の業務であっても働くことは認められていません。



シフトを組む立場の方にも、週28時間のルールを共有しておいてください。
採用のときは適法でも、シフトの追加で合計が週28時間を超えると、その時点で不法就労にあたります。
出典:出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」(2026年8月時点)/出入国在留管理庁「外国人を雇用する際の確認ポイント」
留学生の雇用についてさらに詳しくは、留学生をアルバイトとして雇用するには?注意点を解説をご覧ください。家族滞在の方の働き方は、家族滞在ビザでアルバイトはできる?働くための条件と資格外活動許可を解説で扱っています。
基本③「在留期間満了日」。期限切れ=不法残留とは限りません
最後に、「在留期間満了日」を確認してください。この期限を過ぎて、何の手続きもせずに滞在している方は不法残留(いわゆるオーバーステイ)にあたり、雇用できません。
ただし、期限が過ぎている=直ちに雇用できない、と決めつけるのも誤りです。
期限より前に在留期間の更新や在留資格の変更を申請している場合は、結果が出る時または在留期間満了日から2か月が経過する時のいずれか早い時まで、「特例期間」として適法に在留でき、それまでの在留資格に基づく活動を続けられます。
申請中かどうかは、窓口申請なら在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」の申請中の記載で、オンライン申請なら申請受付番号が記載された受付完了メールなどで確認します。
注意点として、特例期間中にできるのは、あくまでそれまでの在留資格に基づく活動です。在留資格の変更を申請中の方が、許可される前から新しい資格に対応する仕事を始められるとは限りません。
また、永住者の方は在留期間が無期限ですが、カード自体には有効期間があります。「在留期間」と「カードの有効期間」は別の期限なので、混同しないようにしてください。



採用のときに1回確認して終わり、にしないでください。
更新のたびに新しいカードを見せてもらう運用にしておくと、うっかりの見落としを防げます。
出典:出入国在留管理庁「特例期間とは?」(2026年8月時点)
偽造カード対策は、公式の読取アプリの「最新版」で
在留カードの確認には、もうひとつ落とし穴があります。偽造カードの存在です。
実在するカードの番号を悪用した偽造在留カードも存在するとされており、券面を目で見るだけでは見抜けない場合があります。
出入国在留管理庁は、無料の在留カード等読取アプリケーションを公開しています。カードのICチップを読み取り、画面に表示された情報と券面の記載を見比べることで、偽変造されていないかを確認できる仕組みです。
新様式・特定在留カードに対応した最新版を利用してください。新様式のカードでは「在留期間」「許可の種類」「許可年月日」が券面に表示されなくなりましたが、2026年8月19日の改修でこれらの項目もアプリで確認できるようになっています。
あわせて、カード番号が失効していないかを調べられる「在留カード等番号失効情報照会」のページも用意されています。ただし、番号が有効というだけではカード自体の真正の証明にはならないとされているため、アプリでの読み取りと組み合わせて使ってください。
確認の記録の残し方にも配慮が必要です。特定在留カードの裏面にはマイナンバー(個人番号)が記載されるため、安易に両面コピーを取ることはおすすめしません。
確認した日付・確認者・在留資格・就労制限・資格外活動許可の有無・在留期間満了日・カード番号といった必要事項を記録する運用が安全です。
確認を怠ると「不法就労助長罪」。知らなかったでは済みません
ここまでの確認を怠って不法就労にあたる方を働かせてしまうと、雇用主も処罰の対象になります。
不法就労させたり、不法就労をあっせんした人には、不法就労助長罪として3年以下の拘禁刑(刑務所に収容される刑)もしくは300万円以下の罰金、またはその両方を科すことが定められています。
繰り返しになりますが、「不法就労者だと知らなかった」場合でも、在留カードを確認していないなどの過失があれば処罰を免れないと、出入国在留管理庁の事業主向け資料に明記されています。不法就労させた事業主が外国人の場合は、退去強制の対象にもなります。
さらに、2024年6月に公布された改正法で、この罰則は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方へ引き上げられることが決まっています。改正法の施行日は、一部の規定を除き2027年4月1日です。
外国人雇用への行政の姿勢は、年々厳しくなっています。



罰則の話は脅すためのものではありません。
在留カードの確認は、会社を守るための重要な確認の一つです。
いつ・誰が・何を確認したかを、記録に残しておくことをおすすめします。
採用したあとはハローワークへの届出を忘れずに
在留カードの確認が済んで雇用が決まったら、もうひとつ手続きがあります。
外国人(特別永住者と、在留資格「外交」「公用」の方を除く)を雇用した場合と離職した場合、事業主には外国人雇用状況の届出がハローワークへの義務として定められています。短期のアルバイトとして雇い入れた場合も対象です。
届出の期限は、その方が雇用保険に入るかどうかで変わります。
| 区分 | 雇入れのとき | 離職のとき |
|---|---|---|
| 雇用保険の被保険者になる方 | 翌月10日まで | 退職日の翌日から10日以内 |
| 雇用保険の被保険者にならない方 | 翌月末日まで | 翌月末日まで |
この届出を怠ったり、虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金の対象になります。なお、届出にあたって在留カードのコピーをハローワークに提出する必要はありません。
正社員としての外国人採用を検討している場合は、活用できる助成金なども含めて外国人雇用の教科書|在留資格と助成金活用のポイントと専門家の選び方にまとめています。
まとめ
外国人の方をアルバイトとして採用する前の確認について、要点を振り返ります。
- 在留カードの実物を確認するのは採用内定後・雇入れ前です。面接では口頭で聞くに留めます
- 基本①「就労制限の有無」。「就労制限なし」なら在留資格上の職種・業種の制限はありません
- 基本②「資格外活動許可」。原則は週28時間以内で、他のアルバイト先との合計で数えます。資格外活動許可書の確認が必要な場合もあります
- 基本③「在留期間満了日」。期限が過ぎていても、満了日までに更新・変更を申請していれば特例期間の可能性があるため、申請中の記載や受付完了メールを確認します
- 2026年6月から新様式・特定在留カードが始まり、様式が混在しています。偽造対策の読取アプリは最新版を使ってください
- 確認を怠ると、知らなかった場合でも不法就労助長罪に問われるおそれがあります。2027年4月には罰則が引き上げられます
- 雇用後は、短期のアルバイトでもハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要です
3つの基本を押さえれば、確認は慣れてしまえば数分で終わる手続きです。それでも、指定書や許可書の読み方、特例期間の判断など、迷う場面は出てきます。
「この方を雇って大丈夫だろうか」と迷ったときは、めぐみ国際行政書士事務所の無料相談からお気軽にお声がけください。
当事務所は日本語・英語・中国語の3か国語に対応しており、外国人を雇用する企業の方からの、在留資格・就労可否の確認や在留手続に関するご相談も承っています。一緒に進め方を整理しましょう。


プロフィール
行政書士・鈴木恵。日本と上海の大学を卒業後、約12年間、国際線客室乗務員として勤務。多国籍のお客様との出会いを通じて、日本での留学や就労を目指す方々の夢に触れる。行政書士として、在留資格の申請をはじめとする外国人支援に注力中。
「飛行機を降りたその先にも寄り添える存在に」をモットーに、ひとりひとりの過去・現在・未来を大切に、丁寧にサポートしています。



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