日本のデジタルノマドビザとは?要件と注意点を行政書士が解説

デジタルノマドビザ

日本に少し長く滞在しながら、海外の仕事をリモートで続けたいと考えている方の中には、「観光の短期滞在では短い」「でも、日本企業に就職する予定はない」と悩む方も多いのではないでしょうか。

そのような方に関係する制度が、デジタルノマドビザと呼ばれる在留資格です。正式には、在留資格「特定活動(告示53号)」の一つで、海外の会社や海外の取引先の仕事を続けながら、日本に最長6か月滞在するための制度です。

ただし、デジタルノマドビザは「日本で自由に働けるビザ」ではありません。年収、国籍・地域、民間医療保険、仕事内容など、確認すべき要件があります。

当事務所では、ビザや在留資格に関するご相談を日本語・英語・中国語でお受けしています。この記事では、デジタルノマドビザの対象になる方、主な要件、注意点をできるだけやさしい言葉で整理します。

デジタルノマドビザは、新しい働き方に合った制度です。
一方で、通常の就労ビザや短期滞在とは違うルールがあります。

目次

まず確認。デジタルノマドビザは「海外の仕事を日本で続ける」ための在留資格です

デジタルノマドビザは、海外の会社に所属している方や、海外の取引先と契約しているフリーランスの方が、日本に滞在しながら国際的なリモートワークを行うための在留資格です。

出入国在留管理庁では、デジタルノマドを対象とする特定活動について、日本で6か月を超えない期間滞在し、国際的なリモートワーク等を行う方の活動として案内しています。制度の最新情報は、出入国在留管理庁の案内も確認しておくと安心です。

まずは、対象になりやすい方と、注意が必要な方を整理します。

状況デジタルノマドビザとの関係
海外企業に雇用され、日本からリモートワークをしたい対象になり得ます
海外の取引先から報酬を受けるフリーランスとして働いている対象になり得ます
日本企業に就職して、日本国内の会社で働きたい原則として別の就労ビザを検討します
日本でアルバイトをしたいデジタルノマドビザの目的とは異なります
観光だけで日本に滞在したい短期滞在など別の制度を確認します

大切なのは、仕事の相手や報酬の出どころです。デジタルノマドビザは、日本国内の会社に雇用されて働くための在留資格ではありません。

デジタルノマドビザの主な要件は4つです

デジタルノマドビザを考えるときは、まず次の4つを確認します。

要件確認する内容
仕事内容海外の会社・海外の取引先の仕事をリモートで行うこと
年収申請人本人の年収が1,000万円以上であること
国籍・地域対象となる国・地域の国籍等を持っていること
民間医療保険日本滞在中をカバーする民間医療保険に加入していること

それぞれの要件について、もう少し詳しく見ていきましょう。

1.海外の仕事をリモートで行うこと

デジタルノマドビザは、海外にある会社や海外の取引先の仕事を、日本に滞在しながらオンラインで続ける方を想定した制度です。

たとえば、次のような方が検討対象になり得ます。

  • 海外企業に雇用され、パソコンを使って日本から仕事をする方
  • 海外のクライアントと契約しているフリーランスの方
  • 海外向けの事業を行い、報酬も海外から受け取っている方
  • 日本滞在中も、今の仕事を辞めずに続けたい方

一方で、日本の会社と雇用契約を結んで働く場合や、日本国内の店舗・会社で報酬を得る仕事をする場合は、デジタルノマドビザではなく、別の在留資格を検討することになります。

「リモートワークだから何でもよい」というわけではない点に注意が必要です。

2.年収1,000万円以上であること

デジタルノマドビザでは、申請人本人の年収額が1,000万円以上であることが求められます。

この年収要件は、滞在中の生活費をまかなえる経済的な基盤があるかを確認するための重要なポイントです。

海外の会社や取引先から報酬を受け取っている方は、収入が外貨建てであることも多いです。その場合、日本円に換算して1,000万円以上であるかを確認する必要があります。為替レートの変動によって日本円での金額が変わるため、申請前に余裕を持って確認しておきましょう。

年収を証明する資料としては、就労した国などで発行された納税証明書や所得証明書などが想定されます。国によって書類の名称や形式が違うため、どの資料で説明できるかを早めに確認しておきましょう。

年収要件は、数字だけでなく「どう証明するか」が大切です。
海外の書類は形式が違うため、翻訳や説明資料が必要になることがあります。

3.対象となる国・地域の国籍等を持っていること

デジタルノマドビザは、すべての国籍の方が対象になる制度ではありません。

日本の査証免除の対象であり、租税条約などの関係がある国・地域の国籍等を持つ方が対象になります。

対象国・地域は変更される可能性があるため、申請前には最新の一覧を確認する必要があります。アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポール、韓国、台湾などは対象に含まれていますが、個別の国籍・地域については最新情報で確認しましょう。

また、配偶者や子を帯同する場合は、本人だけでなくご家族側の要件も確認が必要です。

4.日本滞在中をカバーする民間医療保険に加入していること

デジタルノマドビザでは、日本滞在中の病気やけがに備えるため、民間医療保険への加入が必要です。

海外旅行保険や民間の医療保険などで、滞在予定期間をカバーしているか、補償内容が十分かを確認します。単に保険に入っていればよいというものではなく、傷害や疾病の治療費用について、1,000万円以上の補償があることが求められます。

特に注意したいのは、保険証券だけでなく、補償内容が分かる約款や説明書類が必要になる場合があることです。「保険に入っている」というだけではなく、どの範囲まで補償されるのかを示せるようにしておくと安心です。

家族も一緒に日本へ来られる場合があります

デジタルノマドビザの大きな特徴の一つは、一定の要件を満たす場合、配偶者や子を日本へ帯同できることです。

本人は特定活動(告示53号)、帯同する配偶者や子は特定活動(告示54号)として扱われます。

家族で日本に滞在できると、仕事だけでなく、子どもと一緒に日本の文化に触れたり、地域の生活を体験したりしやすくなります。

ただし、ご家族にも次のような確認が必要です。

  • 配偶者または子として帯同する関係であること
  • 対象となる国・地域の要件を満たしていること
  • 日本滞在中をカバーする民間医療保険に加入していること
  • 滞在期間が本人の滞在期間と整合していること

家族全員で申請を考える場合は、本人の書類だけでなく、家族関係を示す資料や保険関係の資料も整理しておきましょう。

滞在期間は最長6か月。更新できない点に注意が必要です

デジタルノマドビザで特に注意したいのは、滞在期間です。

この在留資格では、日本に滞在できる期間は6か月を超えない範囲とされています。一般的な就労ビザのように、何度も更新しながら長く日本に住み続ける制度ではありません。

更新はできません

デジタルノマドビザは、在留期間の更新ができない制度として案内されています。

「6か月滞在した後、もう少し日本にいたい」という希望があっても、そのまま延長することはできません。長期的に日本で働きたい場合や、日本の企業に就職したい場合は、別の在留資格を検討する必要があります。

再度申請できる場合もあります

一度日本を出国した後、出国後6か月以降であれば、改めて申請を検討できる場合があります。

ただし、連続して日本に滞在し続けるための更新や再申請はできません。再申請できるかどうかは、出国後の期間、前回の滞在状況、仕事内容、収入、保険、国籍・地域などを改めて確認することになります。

「前に許可されたから次も大丈夫」と考えず、毎回、現在の状況に合わせて準備することが大切です。

デジタルノマドビザは、日本に長期定住するための制度ではありません。
6か月の滞在計画を前提に、入国前からスケジュールを組むことが大切です。

デジタルノマドビザのデメリットは?注意したい6つのポイント

デジタルノマドビザは魅力的な制度ですが、準備の段階で誤解が起きやすい部分もあります。

ここでいうデメリットは、「悪い制度」という意味ではありません。制度の目的がはっきりしているため、使える場面が限られているという意味です。

1.日本国内で自由に働くことはできません

デジタルノマドビザは、日本国内で自由に仕事を探したり、アルバイトをしたりするための制度ではありません。

あくまで、海外の仕事を日本から行うための在留資格です。日本の会社で働きたい場合は、技術・人文知識・国際業務など、仕事内容に合った就労系の在留資格を確認する必要があります。

就労ビザ全体の基本を確認したい方は、日本で働くための在留資格とビザ申請サポートも参考になります。

2.在留カードは交付されず、住民登録もできません

デジタルノマドビザは、6か月の滞在が認められる制度ですが、入管法上の「中長期在留者」には該当しません。

そのため、在留カードは交付されず、市区町村での住民登録もできません。住民票が作成されないため、マイナンバーも付与されません。

また、国民健康保険などの公的医療保険にも加入できません。日本での生活準備では、住まい、保険、銀行口座、携帯電話の契約など、通常の長期滞在者と同じように進められないことがある点に注意が必要です。

3.税金の扱いは個別確認が必要です

デジタルノマドビザで日本に滞在する場合でも、税金の扱いは一律ではありません。

国籍、滞在日数、どこの国から報酬を受け取っているか、日本での居住実態、租税条約(税金の二重課税などを調整する国同士の取り決め)などによって、確認すべき点が変わります。

行政書士は在留資格の手続きをサポートできますが、税務判断は税理士などの専門分野です。税金が気になる方は、ビザの準備とあわせて税務面も確認しておきましょう。

4.必要書類は働き方によって変わります

会社員なのか、フリーランスなのか、法人経営者なのかによって、説明すべき資料は変わります。

たとえば、次のような資料を整理することがあります。

  • 雇用契約書
  • 在職証明書
  • 業務委託契約書
  • 取引先との契約内容が分かる資料
  • 納税証明書や所得証明書
  • 滞在中の活動予定を説明する資料
  • 民間医療保険の加入証書や補償内容が分かる資料

海外の書類は、日本の入管が見て内容を理解できるように、翻訳や補足説明を添えることが大切です。

5.申請前に「自分の働き方」を整理しておく必要があります

デジタルノマドビザでは、単に「パソコンで働いています」と説明するだけでは不十分な場合があります。

次のような点を整理しておきましょう。

  • どこの国の会社や取引先の仕事をしているのか
  • どのような業務を行うのか
  • 報酬はどこから支払われるのか
  • 日本滞在中も仕事を継続できるのか
  • 日本国内の企業や顧客との関係がある場合、それはどのような内容か

働き方が複雑な方ほど、書類だけでは伝わりにくくなります。申請前に、仕事内容を分かりやすく説明できる形に整えておくことが大切です。

6.短期滞在から切り替えを考える場合も慎重な確認が必要です

すでに日本に短期滞在で入国している方が、デジタルノマドビザへの変更を考えるケースもあります。

ただし、短期滞在は本来、観光、親族訪問、短期の商用などを目的とする在留資格です。日本国内での変更ができるか、どのタイミングで申請するか、必要書類がそろうかは、個別に確認する必要があります。

「とりあえず日本に来てから考える」よりも、入国前の段階で申請方法とスケジュールを確認しておく方が安心です。

デジタルノマドビザが向いている方

デジタルノマドビザは、次のような方に向いています。

  • 海外の仕事を続けながら、日本に数か月滞在したい方
  • 観光だけでなく、日本での生活を少し深く体験したい方
  • 日本企業に就職する予定はない方
  • 年収1,000万円以上などの要件を満たしている方
  • 配偶者や子と一緒に日本で短期間暮らしたい方
  • 6か月以内の滞在計画を立てられる方

反対に、日本に長期的に住みたい方、日本企業で働きたい方、日本で事業を本格的に行いたい方は、別の在留資格の方が合っている場合があります。
在留資格の種類から整理したい方は、在留資格の基本と申請前に確認したいポイントも参考になります。

よくある質問

デジタルノマドビザは日本人でも取れますか?

日本人は、日本に滞在するための在留資格を取得する必要がありません。

デジタルノマドビザは、外国籍の方が日本に滞在するための制度です。「日本人が海外でデジタルノマドとして暮らすためのビザ」を探している場合は、滞在したい国の制度を確認することになります。

デジタルノマドビザは日本でアルバイトできますか?

原則として、日本国内でアルバイトをするための在留資格ではありません。

デジタルノマドビザは、海外の仕事を日本からリモートで行うための制度です。日本国内の会社や店舗で報酬を得る活動をしたい場合は、別の在留資格を確認する必要があります。

年収1,000万円は世帯年収でもよいですか?

デジタルノマド本人の年収として確認されます。

配偶者の収入を合算してよいか、事業所得をどのように証明するかなどは、働き方や提出資料によって整理が必要です。また、外貨建ての収入は日本円に換算して確認されるため、為替レートの変動にも注意しましょう。自己判断せず、申請前に確認することをおすすめします。

デジタルノマドビザの費用はいくらですか?

費用は、申請する場所、必要な翻訳、保険料、専門家へ依頼するかどうかによって変わります。

また、海外の在外公館で査証を申請する場合と、日本国内で在留資格の手続きを行う場合でも、確認する窓口や準備の流れが異なります。実際にかかる費用は、申請方法を決めたうえで整理しましょう。

デジタルノマドビザで在留カードはもらえますか?

デジタルノマドビザでは、在留カードは交付されません。

この在留資格は6か月の滞在が認められる制度ですが、「中長期在留者」には該当しないためです。住民登録もできず、住民票やマイナンバーも作成されません。

フリーランスでも申請できますか?

海外の取引先との契約に基づいてリモートワークを行い、年収や保険などの要件を満たす場合は、フリーランスの方も検討対象になり得ます。

ただし、会社員よりも仕事内容や収入の証明が複雑になることがあります。契約書、請求書、入金記録、納税関係の資料などを整理しておくとよいでしょう。

家族は日本で働けますか?

帯同する配偶者や子の在留資格は、デジタルノマド本人に同行するための特定活動です。

日本で働くことを前提とする制度ではないため、家族が日本で就労したい場合は、別途確認が必要です。

デジタルノマドビザの税金はどうなりますか?

税金は、滞在日数、所得の種類、報酬の支払元、居住者に当たるかどうかなどによって確認が必要です。

デジタルノマドビザを取得したからといって、税金の扱いがすべて自動で決まるわけではありません。必要に応じて、税理士など税務の専門家にも相談しましょう。

デジタルノマドビザから別の就労ビザへ変更できますか?

日本企業に就職するなど、活動内容が変わる場合は、別の在留資格を検討することになります。

ただし、変更できるかどうかは、本人の経歴、仕事内容、勤務先、在留状況などによって変わります。早めに計画を立て、必要書類を確認しましょう。

まとめ:デジタルノマドビザは「6か月の日本滞在」を計画的に進める制度です

デジタルノマドビザは、海外の仕事を続けながら日本に滞在したい方にとって、新しい選択肢になる制度です。

一方で、誰でも簡単に使える制度ではありません。年収、国籍・地域、民間医療保険、仕事内容などを丁寧に確認する必要があります。

この記事のポイントを整理します。

  • デジタルノマドビザは、正式には特定活動(告示53号)の一つ
  • 海外の会社や海外の取引先の仕事を、日本からリモートで行う方が対象
  • 申請人本人の年収1,000万円以上が求められる
  • 対象となる国・地域の国籍等を持っている必要がある
  • 日本滞在中をカバーする民間医療保険への加入が必要
  • 傷害・疾病の治療費用について、1,000万円以上の補償が必要
  • 配偶者や子を帯同できる場合がある
  • 滞在期間は最長6か月で、更新はできない
  • 出国後6か月以降であれば、再度申請を検討できる場合がある
  • 日本企業で働くための就労ビザとは目的が違う
  • 在留カードは交付されず、住民登録や国民健康保険の対象にもならない
  • 税金、保険、銀行口座、携帯電話契約などの扱いは事前に確認が必要

デジタルノマドビザは、働き方、収入、保険、家族構成によって準備すべき書類が変わります。特に海外の書類を使う場合は、日本語訳や補足説明が必要になることもあります。

めぐみ国際行政書士事務所では、日本語・英語・中国語で、ビザ申請や在留資格に関するご相談をお受けしています。

デジタルノマドビザの要件を満たしているか不安な方、家族と一緒に申請できるか確認したい方は、まずはめぐみ国際行政書士事務所の無料相談で現在の状況をお聞かせください。

ひとりで悩まず、日本での滞在計画に合った手続きを一緒に整理していきましょう。

プロフィール
行政書士・鈴木恵。日本と上海の大学を卒業後、約12年間、国際線客室乗務員として勤務。多国籍のお客様との出会いを通じて、日本での留学や就労を目指す方々の夢に触れる。行政書士として、在留資格の申請をはじめとする外国人支援に注力中。
飛行機を降りたその先にも寄り添える存在に」をモットーに、ひとりひとりの過去・現在・未来を大切に、丁寧にサポートしています。

「こんなことで相談していいのかな?」と思うような小さなことでも、どうぞ気軽にお問い合わせくださいね。

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